将棋

2016年末に不祥事の日本将棋連盟、年明けの将棋道場は活気に溢れてました

2017/01/08

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昨年の秋から冬にかけての日本将棋連盟に関する醜聞はワイドショーなどでも話題になったくらいですからご存じの方も多いと思います。その影響によるファン離れが心配で本日2017年1月5日に日本将棋連盟内の将棋道場へ将棋を指しに行って来ました。活気のある風景にちょっとだけ安心することができました。

「事件」は「三浦九段カンニング事件」から「三浦九段えん罪事件」へ

将棋会館

うんとざっくり説明しますと、竜王戦という将棋界最高賞金のタイトル(第29期のタイトル獲得者は約4,300万円、タイトル獲得失敗した人でも約1,600万円)の挑戦者に決まっていた三浦九段が将棋の対局中にカンニングしているのではないかと疑われ、証拠も固まっていないままタイトル戦の数日前に挑戦権を剥奪、年内の公式戦対局禁止となったものです。

年末に第三者調査委員会が発表した内容によれば三浦九段にかけられた疑い4項目はすべて「シロ」。日本将棋連盟の理事などが減俸を発表したものの将棋ファンをはじめとする世間が何も納得しないまま年明けに至っています。

事件の様相は「三浦九段カンニング事件」と思われていた状況から「三浦九段えん罪事件」に変貌している、といった状況が2017年1月8日時点です。

将棋のソフトウェアの進化に人間がついて行けなかった

事件の根っこにあるのはコンピューター将棋ソフトの実力向上です。

将棋のソフトウェアがプロ棋士を超えるレベルまで強くなってしまったこと、スマートフォンの将棋アプリでさえほとんど人間を超えたレベルにあるという現在において、日本将棋連盟が電子機器の利用に関する規定を曖昧にしたツケが回ってきたという形です。

プロの棋士は将棋の実力においてコンピューター将棋ソフトに勝つのが難しくなり、そして日本将棋連盟はコンピューター将棋ソフトの進化によってもたらされる様々な運営的なリスクに向けて動くことができませんでした。

その点において、人間は棋力の意味でも現実的な仕組み作りの面でも将棋ソフトに対応仕切れなかったといえるでしょう。

気をつけなければいけない二つの「ファン離れ」

現時点で日本将棋連盟が気を付けなければならない「ファン離れ」のストーリーは少なくとも二つ、あるのではないでしょうか。

人間のプロ棋士の存在意義

日本将棋連盟は、人間のプロ棋士の存在意義を明確にし、世の中に対してこれまで以上に重要なことをアピールしていかなければならないでしょう。

子供たちが単純に将棋が強くなりたいというのであれば、人数が限られているプロ棋士の元に赴いて将棋を教わるよりも、現在の将棋プログラムに十分な指導機能がついたもの(いつか発売されるでしょう)を駆使した方が早い、ということになりかねません。

しかし、将棋には礼儀作法を学ぶ、何百年も続く文化を知る、人と人のコミュニケーションを促進させる、相手の感情を測りながら手を考える勝負術を体得する、など、人間と指すからこそ得られる大切な要素があります。

こういったことを日本将棋連盟やおのおののプロ棋士がリードし、コミュニケーションツールとしての将棋の良さを今以上に、もっともっと前に出して行かなければ、長い目で見るとプロの棋士という存在の意義がどんどん目減りしていってしまいます。

そういった存在意義をうまく捉えた上でコンピューター将棋ソフトとの現実的な共存を図ることがこれからの将棋界に求められるはずです。

現在のネット中継などでよく用いられているプロ棋士が指した手をリアルタイムに採点するためのコンピューター将棋ソフトの使い方は、何か殺伐としているような気がするんですよね。もっとほかの使い方を強く!望んでます。

日本将棋連盟にファンが愛想を尽かす

ファン離れの危機のもう一つは、日本将棋連盟という運営母体にファンが愛想を尽かしてしまうことです。

年末の「三浦九段えん罪事件」では、簡単に言ってしまえば一部の棋士が「もしかしたら三浦九段はスマホなどでカンニングしているのでは?」という疑惑をろくに調査もせず断罪してしまったという世紀の大チョンボをしてしまいました。

疑わしいという理由だけで一人の棋士を処罰しようとし、その4つの根拠がすべて否定された日本将棋連盟は、さすがに正しい運営能力を疑われている状況です。

今、このときこそ、連盟の自浄能力が問われています。

年末に大失敗をしていますが、三浦九段に対する納得感ある名誉回復をしつつ体制の変更を上手にしなければ「あの人たちが運営している団体にはついて行けない」と離れてしまう棋士・ファンが出てきても不思議ではありません。

革新的な棋士が新団体を立ち上げて分裂したり、コンピューター将棋ソフトを上手に先生として活用できるアマチュア棋士による将棋講座が人気を出してしまったり、将棋連盟にとっての悪いシナリオはいくらでも考えられるのです。

将棋連盟さん、2016年末にやらかしましたけれど、2017年初頭こそが本当の正念場ですよ。なんとか頑張ってリスタートしてください!

1月3日、三浦九段の地元・群馬県で行われた将棋イベントは、当初は地元出身の三浦九段が出演する予定だったんですよね。それを日本将棋連盟は騒動を理由にして、出場停止期間が終わっているにもかかわらずキャンセルの措置を執りました。それをさらに、主催のYAMADA電機がどうしてもと申し入れたことで三浦九段は挨拶の機会を得たというじゃありませんか。

将棋連盟、何やってるんですか?既にリスタート失敗している自覚を持っていますか?

将棋道場は活況でよかった

そんな心配をしつつ伺った日本将棋連盟の建物内にある将棋道場でしたが、冬休み期間中ということもあり多くの子供たちがいて、心なしかほっとしました。子供が元気に楽しく将棋を指し、保護者である親御さんが見守っていたり、親御さんは親御さんで将棋を指していたりと、そこにはこれまであった子供の集まる将棋道場の姿がありました。

僕も将棋道場で指しました。中学生の三段、おじいさんの三段に二連勝。中学生の二段に負けました。

「押さえ込まれていたら勝てませんよ」

中学二年生に対局後ご指導いただきました。相手に気を遣って言葉を選ぶみたいなことができない子供からの言葉は心にぐさっときますけれど、ピュア100%なのが分かってるから何も言えません。ぐぬぬ・・・。

将棋をやめなさい!って言ってもらいたくない

「マンガなんてやめなさい!」「テレビゲームなんてやめなさい!」と僕が子供の頃にはよく言われたものです(決してマンガやテレビゲームがだめなものだとは僕は思っていません)。

今年以降「将棋なんてやめなさい!」という親御さんが増えてこないのを祈っています。優れた頭脳ゲーム、駆け引きのゲームである将棋という競技の価値を落とさないよう、将棋連盟のトップの人たち、また棋士のみなさんには本当に知恵を絞って考えていただきたいものです。

ブロガーとしてお手伝いできることって何かあるのかな。楽しいことを伝えていればいいのかな。協力できることがあればいくらでもしますよ。将棋のプロの方々は専門領域である将棋について新たな魅力を創出、再構築することが大切です。宣伝とか共感を得るとかシェアするとか、そういうことはそれぞれの専門家がやればいいんです。

そんなことを考えつつ、ネット将棋ではない、リアルに挨拶をし、駒を持ち、指す将棋初めをしてきました。

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