定期的に開催され、また僕も割と参加している、五反田の編集プロダクション「ノオト」さん主催で行われているライター交流会。2017年6月17日には「ライターの生産性アップ ~早く書くコツ~」というテーマで行われました。
ご登壇頂いた石黒謙吾さん、佐藤友美さんのコメントの中から、長く活躍するための秘訣のひとつであろう「言葉の蓄積」について参考になることが多く、抜き出してひとつの記事にまとめます。
~ 目次 ~
一つの状態を何通りの表現できますか?
ファッション雑誌で文章を書く佐藤さん。
ファッション誌のライターをしていたときの話。ファッション誌は「形容詞の媒体」。超可愛い!をどれだけ形容できるか。媒体ごとに様々な形容詞を取り出してクール系、かわいい系など分類して、媒体ごとの執筆の時に活用した。
(佐藤さん)#ライター交流会
— Daiji Okuno (@odaiji) 2017年6月17日
超かわいい、という言葉ひとつをどれだけ表現できるのか。媒体ごとの「モード」に合わせた表現がどれだけできるのか。おそらく普段から相当雑誌を「読み漁って」おられることでしょう。
スマホで動作が快適な状況を僕は
ヌルヌル
サクサク
スムーズ
なんかいい感じ
みたいに書いたりしますけれど、例えばマニアが読む媒体、シニアが読む媒体、流行に敏感だけれどガジェットに詳しくない人が読む媒体、と分けたときにどのように表現したら良いかを考えなければいけないなあと感じました。
多分、シニアに「これヌルヌルだから」って書いてもわけわかんないですもんね
ガジェットのことを書けるだけじゃなくて、相手を見て言葉を選択できるようになれば、そしてその引き出しが多くなればなるほど、力も上がりますしお仕事も増えるかもしれないな、と思ったり。
そのためにはガジェットの専門メディア・雑誌だけを読むのではなく、シニアの雑誌ではどういった表現が好まれているのか、ということを知っておかなければいけませんね。これから読むものが変わりそう。
そして話はずれるけれど、dマガジンがあるおかげで、スマホの追加料金なくシニア雑誌に目を通すことができそう。ありがたや。
新しいものに出会ったらすぐにメモる
石黒さんからのお話です。
A2 中吊りで「これ面白い」とおもったらスマホで、自分宛にメールする。面白いだじゃれを見つけたレベルでも自分あてにメール。
(石黒さん)#ライター交流会— Daiji Okuno (@odaiji) 2017年6月17日
昔作曲家の人が、良いフレーズが頭に浮かんだら自分の家の留守番電話に向けてフレーズを歌い、録音させる、と言ってました。
これはスマホや携帯電話もなく、録音がそうそう簡単にできなかった時代の話です。
石黒さんもきっと同様なのでしょう。日ごろから「語彙(ごい)」に関するアンテナを張り続けているから、中吊り広告にも捨て目が効く。そして気づいたものをすかさず保存するようなクセがついているんです。
A2 前準備について
書く前に考える時間が必要。日頃から「これかける」「こういう言い回し必要」「こういう表現がある」、書くための頭のストレッチを日頃からしていることが大切。(石黒さん)#ライター交流会
— Daiji Okuno (@odaiji) 2017年6月17日
それぞれアプローチが違っても、常に「今使われている言葉」をとても大切にしている様子がわかりました。過去に覚えた言葉だけではけっして勝負していないということですね。
「言葉の蓄積」は2人に共通の資産だった
頭のいい人はだいたいだじゃれができる。パターンが俯瞰できていないとだめ。頭の中にどれだけあるか。(石黒さん)
ボキャブラリーを増やすのは大切(佐藤さん)
覚えなければならない!というわけではない(石黒さん)
いつか使いたい言葉リスト、ある(佐藤さん)#ライター交流会
— Daiji Okuno (@odaiji) 2017年6月17日
石黒さんはダジャレに関する書籍もあるくらいダジャレ好きですが、そのダジャレについて「頭のいい人は大体できる」と語っています。そういえば僕はダジャレ好きなので褒められた気分です。ダジャレが浮かぶ人っていうのは、頭に言葉が蓄積されているこということと、それを活かす回路が錆びていないということですからね
佐藤さんは「いつか使いたい言葉リスト」の存在をほのめかしつつ、ダイレクトに「ボキャブラリーを増やすのは大切」と語ります。
言葉は生き物です。昔の言葉をどれだけ知っていても現代の状況を的確に表現できるとは限りませんし、ニュアンスも伝わりません。
また、これから生まれてくる新しい事象に対しての説明を上手にできるようになるためには、つねに現在の言葉を十分に理解しておく必要があります。
そんなことを改めて考えたライター交流会でした。
昔からある名著だけじゃなく、今刊行される本も読むようにしようっと。