黒田官兵衛

【 #軍師官兵衛 】第28話 人間50年・・・

2014/07/20

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「敵は本能寺にあり!」と下知する明智光秀さん。そう、天正10年(1582年)6月2日未明のことです。

そんなことも知らない備中高松では秀吉さんと官兵衛さんが戦前のトーク

「田畑をダメにしてしまうとは農民に悪いことをしたのぅ・・・」

というのは農民出身の秀吉さん

「心配ございません。すでに手は打ってあります。かようなことで秀吉様の名を落とすことはいたしませぬ。」

万事快調な官兵衛さん。あとは明智光秀さんの後詰(応援)を待ってプレッシャーをかけ、そのあとの信長さんの出馬で踏みつぶすだけですな。

一方京都・本能寺の夜。
馬蹄の音が聞こえたのか、寝室でガバっとおきる信長さん。濃姫さんが「いかがなされました?」と気づいたところでオープニングです。

『義挙』開戦

「われらはこれから織田信長を討ち果たす。これは遺恨にあらず。義挙である!」
明智光秀さんが信長討ちの正当性を部下に伝え、本能寺攻めを開始します。

当時の本能寺は、現在の本能寺とは別の場所(とはいえ京都市内)にあったそうです。また、お寺の作りも違い、織田信長ほか数十名が宿泊できるほどの大規模なお寺だったらしいですね。詳細なお寺の図面などはまだ残っていないはずですが、外壁の位置などから結構大規模なお寺だったらしいことは聞いたことがあります。

本能寺の内側。外の雑音に気づいた若侍が

「何事だ」「わかりませぬ」などとやっているうちに、塀の外から旗印が見えます。水色の旗で見えたのは桔梗の紋・・・。

「明智・・・?」と気づいた瞬間に明智軍は塀の上から鉄砲隊による一斉射撃です。

謀反にございます

目覚めた信長夫妻の元にやってきたのは森蘭丸さん。

「いかがした?」
「謀反にございます!」

驚いて信長さんを見上げる濃姫さん。

「いずこの軍勢だ」
「桔梗の紋。明智にございます」

是非に及ばず

この「是非におよばず」、本能寺の変における重要セリフです。信長自身が言ったかどうかの真偽は定かではありませんが、資料にも出ている言葉です。直接的な意味は

今更議論したりじたばたしても仕方ない

くらいの意味だと思いますが、本当の意味はきっと深いところにあるのでしょう(本当に言ったのならば)。

とにもかくにも、弓をもって信長さん自身も戦います。

そもそも備中へ助っ人にいくはずだった明智軍は、自然に軍備が備わっています。人数も充実。それに対して信長さんの手勢は、すでに戦がなくなっている京都で少ない供回りが平服で戦っていることもあり、まともな戦になるはずがありません。

弓を打っていた信長さんでしたが弓の弦が切れ、槍で戦います。

戦いながらも

「お濃(濃姫のこと)、女とともに逃げよ。光秀なら手荒な真似はすまい!」
「濃は上様のおそばを離れるつもりはありませぬ。どこまでもついてまいりまする」
「さすがは蝮の娘。よかろう、ついてまいれ!」

と夫婦の愛情トーク。

蝮(まむし)、というのは、信長がまだ尾張(愛知県)の一大名だったころ、隣の美濃(岐阜県)を支配していた大名・斎藤道三のことです。濃姫は道三の娘で、半ば政略結婚の形で信長に嫁いできたのですね。

で、この斎藤道三がなかなかのしたたか者で、そのことを指しているのですな。

明智軍からは火矢も放たれ、本能寺も火が回り始めます。そうこうしているうちに信長さんの槍も折れます。蘭丸さんらの「ここは私らにお任せを!」の言葉を後に、奥に下がることに。

シーンこそないものの、森蘭丸さん、ここで殉職。

濃姫との別れ

奥にも一部、明智の兵は入っていたようで、信長さん自ら戦います。寝間着姿で鎧兵を切りまくる信長さん強い。
濃姫も短刀をもって敵兵に向かいますが敵兵に切られてしまいました。
こんなに刀をもって戦う濃姫の演出は初めてかもしれません。

一通り落ち着いたあとでひん死の濃姫を抱きかかえた信長さん

「わしの女房はそなたでなければ勤まらなかった」
「上様・・・生きて、生きつくしてくだされ・・・」

最後に濃姫の胸を刺して楽にしてあげる信長さん。涙を流しながら絶命する濃姫さん。
濃姫役の内田有紀さん、美しい最期でした。

夢幻のごとくなり

「生か・・・死か・・・」のナレーションとともに奥に進む信長さん。一番奥の部屋はすでに火が回り始めている状態でした。床の間に飾られた自分の肖像画が焼けるのを見た信長さん、ここで悟ったのか「人間50年 下天のうちを 比ぶれば 夢幻の ごとくなり・・・」と得意の歌を歌います。

若かったころの思い出が走馬灯のようによみがえり、

「存分に生きたぞ!」

と両手を広げたのちに、手にした刀で自らの頸動脈を切ります。
吹き出る鮮血、そして織田信長、死亡。享年49歳。

落ち着かない光秀

「信長は・・?」

と焦っているのは明智光秀さん。
そりゃそうです。死骸が見つかるまで、光秀さんは信長さんの生存に脅かされるのですから。

情報千里を走る

夜が明けて、京都の御所では公家の吉田兼和さんや、同じ反信長派の九条兼孝はうれしくて仕方ないご様子。
まあ、軍師官兵衛では公家の黒幕説で展開していますからね。大切な演出です。

安土城では先日和解した信長のお母さんが悲報を聞きショック。

長浜城では秀吉さんの奥さん・おねさんがニュースを聞き、留守番の人たちを集めて「逃げるのです。逃げるが勝ちです。命を無駄にしてはならぬ」と、軍師官兵衛的なご指導。

明智の次の手

坂本城に戻った光秀さんを迎えたのは娘の倫さん。かつて信長に反旗を翻した荒木村重さんの長男に嫁いでいた倫さんとしては、恨みを晴らしてくれてうれしい!という反応でした。

そして明智軍では軍議を。

秀吉、滝川一益、柴田勝家らが私を狙ってくるだろう。だがいずれも遠方、時間の猶予が少しある。今のうちに同心するものを集え。

朝廷の威光をもって信長が打ちこわしたものを取り戻し、元のあるべき姿に戻すのだ。そうしたら戦乱の世は終わり、太平の世が戻るのだ・・・。

光秀さんの主張はここですね。

堺の家康

先日安土で信長さん・光秀さんの接待を受けた徳川家康さんは、当時日本一の港町だった大阪の堺を訪れていました。本能寺の変の報はそこで受けたのですね。

家康さんも言ってみれば「旅行」ですから、武装した兵ももっておらず、重臣やわずかな供回りしかいません。

明智光秀が準備した謀反なら私のところも狙ってくるだろう。もはやこれまで。かくなる上は腹を切る

と早々に諦めてしまう家康さんを、一緒にいた三人の重臣、榊原康政・井伊直政・本多忠勝が諌め、山を越えて三河へ戻りましょうと献策。家康さんは命からがら脱出します。

凶報・備中に届く

織田信長の家臣でもある茶人・長谷川宗仁さんから本能寺の変の密書を「羽柴様にお届けせよ。毛利より先にしらせるのだ」と受けた家臣は、明智の検問をくぐって備中に向かっています。

小寺の殿も、サヨナラ

まだそれを知らない備中で、援軍に来た明智軍をどこに配備するかなど考えていた官兵衛さん、栗山さんから思わぬ報告を受けます。

備中に昔の殿・小寺政職がいました!

なにっ。と向かう官兵衛さん。病弱な長男も氏職(うじもと)と名を改め、ご立派な挨拶ができるようになりました。

病に倒れている元バカ殿様。官兵衛さんを裏切ったことを悔い、改めて詫びます。まあこの人の詫びにどれだけの価値があるかわからないのですが・・・。
殿様の心配はただ一つ、長男のことだけです。

「若(氏職)は私がお守りします。」

とやさしい言葉をかけた官兵衛さんに、殿様は「よかった、あの世で(先に死んだ、官兵衛贔屓だった)妻に叱られずに済む・・・よかった・・・」といって亡くなりました。

凶報届く

さて、その夜(6月3日の夜)、秀吉軍に疲弊しきった姿でやってきたのは、先の長谷川宗仁さんの密命を受けた家臣でした。
見つけた黒田長政さん。重要な話と聞いて官兵衛さんを呼び出してあげます。

人払い+官兵衛であることの証がほしいと無理目な注文をした長谷川宗仁さんの家臣は、官兵衛さんであることを確認したのち、密書を渡します。

目を通した官兵衛さん、ものすごい混乱した表情を一瞬見せたあと宗仁さんの家臣に

「(自分の)命が惜しいな?ではこのこと、他言無用」

と念を押してから栗山さんにこの家臣のねぎらいを命じます。
そりゃそうです。この情報を漏らされるわけにはいきませんから、口封じが必要ですものね。

決断

心の中は大混乱の官兵衛さん、完全に一人になってから動揺しつつ、悶絶しつつ、目を閉じて必死に考えます。

そして目をかっと見開き、ある決断をしました。

善助!と言ってから耳元でささやき、明智からの情報が漏れないような手続きを。
そして、すでに睡眠中の秀吉さんのもとを訪れ、「心して読んでください」と言ったあと、件の密書を手渡します。

いったん出した手紙を、フェイントをかけてひっこめつつ「心してお読みください」といったやり取りはなかなか秀逸。

覚悟を求める

泣きわめく秀吉さん。官兵衛さんが先ほど通った思考の過程ですね。
しかし秀吉さんと官兵衛さんの違いは、秀吉さんは直接のトップが謀反で討たれた状態であることに対し、官兵衛さんは、自分が頼るべき秀吉さんが大きな力を持っている、という状態であったこと。

「殿、わかりますか?殿の御運が開けたのですぞ!」

と野望に満ちた笑顔で秀吉さんに語り掛けます。

信長様が亡くなられたのになぜ喜んでいるの?・・・という困惑の表情を見せる秀吉さんですが、官兵衛さんは畳みかけます。

「今は亡き竹中半兵衛様の思いをお忘れか。
半兵衛様は殿が天下に名乗りを上げることを望まれ、それを私に託された。

毛利に悟られることなく和議を結び、すぐさま謀反人・明智をうちに京へ戻るのです。それが亡き上様のため、そして天下のためです。」

官兵衛、わかった。して、どうすればよい?

覚悟を決める羽柴秀吉も、さすがいくさ人です。切り替えが早い。

「すべて、この官兵衛にお任せください。」

ここから官兵衛さん、日本代表クラスの軍師へ。

ここでの演出は、気持ちはわかるけれどもちょっと変ですね。信長が死んだことはこの時点でトップシークレットなのですが、だから大きな声で「亡き上様のため」なんて大声で言うはずはありません。まあ演出に目くじら立てることもないのだけれど。

次に打った手は、敵の外交僧・安国寺恵瓊を呼び立てたこと。

5か国をもらっても和議は難しいと言っていた交渉だったのに、毛利の本領安堵(何も国を出さなくていいよ)という妥協案を提示しました。

なにゆえ急に、そのようなことを?

そりゃ、恵瓊さんもおかしいと思いますよね。

羽柴様に、天下を望む好機が訪れました・・・。織田信長公が亡くなられました。明智光秀の謀反にございます。

マジ? という恵瓊さんの表情とともに大博打を打った官兵衛さんの表情で終了。

お、この流れは、中国大返しの際に羽柴と毛利は、和議どころか同盟を結ぶ流れかな?
であれば清水宗治の切腹を、どう説得力のある流れで持ってくるのか。来週が楽しみです。

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