ライターノウハウなど

【やってはいけない】はあちゅう氏のインスタグラムによるスクエニ批判は、物書きは真似してはいけない

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原則的に個人名を出して批判するのは良くないと思っています。が、これが正しい行いだとライターに思われ、同じことが頻発するような世の中になることを決して望んでいないので、書くことにします。

作家・ブロガーと呼ばれている「はあちゅう」氏が2019年2月22日(Amazonの取り扱い情報による)に「旦那観察日記~AV男優との新婚生活~」を出版しました。その書籍に関係するインスタグラムアカウントにおいて5月26日、スクエア・エニックス社には様々なトラブルがあったこと、内容において自分の要望が反映されなかったことを理由に「コンテンツをお任せできない」「信用できない」と画像で語りました。結びには「コンテンツを好きで見てくれている方と改めて組みたい」と、スクエニがコンテンツに対する愛情が無かったと暗に断定し締めくくっています。

少し前に、出版社がある著者の部数をツイートで示して大炎上することがありました。これは出版社側の執筆者に対する著しく礼を欠いた行為です。このたびのはあちゅう氏のやり方はライター側から見て、とても礼を欠く、ルール違反の、誰も幸せにしない行為です。これからライティングで身を立てたいと思っている方は決して真似しないでください。

「インフルエンサー」によるSNSでの毀損行為は権力ある人がその力で抑え込むのと同じ

当該のインスタグラム投稿はこちら

フォロワーが多いとか、アクセス数を持っているとなど、ネット上で他者に影響をあたえられやすい人を「インフルエンサー」と呼びます。そういった人々が特定の何かの評判を落とす発言をすることは、大きな権力を持つ人が力のない人を押し付けるのと同じ行為です。パワハラに近いとも言えますね。今回の場合では、もしスクエニの担当者が横領していたとか、出版を理由にセクハラをしかけてきたとか、そういった行為で「裏が取れる」ものであれば、存分にお話すればよいものです。


当該のインスタグラム投稿から引用。社名は同投稿の一つ前の画像に出ています。いいねのアカウント名部分だけモザイク処理を施しました。著作者のアカウントはこちら

でも今回のケース、はあちゅう氏が個人的に

  • 様々なトラブルがあり
  • コンテンツの大切な部分で私の要望が反映されず

という両者の間でしかわからない、個人の評価次第でなんとでも言えることしか書いてありません。この状態でSNSで批判するのは大きくズレているとしか言いようがありません。

もしトラブルの中に、公序良俗に基づかなかったり犯罪行為だったりしたことがあるのであれば、それをしっかり書いて糾弾すべきです。

こういったことを、数字を持つ「インフルエンサー」が行うのであれば、これを知るすべての出版社・編集者は「付き合いたくない相手」と捉えることになるでしょう。相手の時限爆弾のスイッチを自分がいつ押してしまうかなんてわかりませんから、出版社にとってはリスクがあるだけの存在です。

はあちゅう氏の場合には多くのファンがおり、たとえ全出版社との付き合いがなくなったとしても、ファンからコンテンツの費用を頂く手段が残っていそうです。だからこそ無礼なこともできるのでしょうが、これを、数字を持たない初心者ライターが行ったら、文章を書くことによるマネタイズの大半が閉ざされた状態になります。

トラブルは内々で解決するのが優先であり理想

当該のインスタグラム投稿から引用。いいねのアカウント名部分だけモザイク処理を施しました。著作者のアカウントはこちら

さて、ライターとして、仕事をする個人としても考えてみましょう。どの仕事でも取引先の悪口を公の場で言うものではありません。

たとえガヤガヤしている飲み屋でさえ取引先の知り合い、みたいな人がいるかもわからないわけです。良心的な企業であれば「飲み会の場でも取引先のことを言うモノではない」と先輩から後輩へ引き継がれます。

広告代理店トークであれば電通のことを「D」、博報堂の事を「H」と呼んだり、電気メーカー関係トークであればNECを「N」、日立を「H」、富士通を「F」、ソニーを「S」なんてイニシャルで呼んだ経験がある人も少なくないでしょう。それだって、ぱっと聞いただけの人なら何言ってるかわからないわけですよ。

本人は「あまりトラブルを表沙汰にするのはよくないかもしれませんが」と書いていますが、堂々名指し批判しているのですからねえ・・・。

世の中のどんなトラブルもそうなのですが、トラブルというものは当事者同士の解決が第一優先です。離婚などの例でも分かりやすいのですが、

  • 双方が合意すればその場で書類にハンコを押して離婚
  • 片方が納得できないなどあれば弁護士などに相談して協議して離婚
  • 本当にどうにもならなければ裁判をして司法の判断を仰いで離婚

と軽いほうから進行していきますよね。人間は知性や理性のある生き物なので、話し合いでできるだけ解決しましょうというのが世の中の大きなルールの一つです。
解決方法の中に「力をちらつかせて屈服させる」というものは存在しません。

はあちゅう氏の今回のやり方は、トラブルを内々で解決できなかったことの証明をしています。そして、自分の持っている力で相手を貶めて、その上で次の出版先を探しているんですね。

フリーランスが企業と戦うのは大変ですし、初心者ライターだったらなおさら大変。だからと言ってすぐ「〇〇に公開します」という切り札を切るのは、自分に問題解決能力がないことを宣言しているも同じです。

誠意をもって、何が不満なのか、どうしたら改善するのか、相手がどうしたら自分がもっとやりやすくなるかを理性的に話し合う習慣をつけてください。それなくして情報拡散の手段に訴えるのは下劣な行為です。

では、どうすればよかったのか

べき論を言うだけでは何の解決にもなりませんよね。それでは他の出版社との契約を目指すにあたり、どのようにしたらよかったのでしょうか。

それは「次の本は貴社経由では出しません」と筋を通した上で

「何も不満など公開することなく、粛々とほかの出版社へ営業をかける」

です。単純な営業部分であればインスタグラムやTwitterを活用することは何の問題もありません。

もし拡散系の営業をするのでも、はあちゅう氏がTwitterのほうで現実に行っているように

この画像部分で、インスタグラムへのリンクを載せなければ普通の営業活動でしょう。

最初の本はスクエニだったのになぜ?

と思う人の勘繰りはスルーしていればOKですから。

交渉や抗議の仕方が分からないということもありますよね。そういったときに役立つのが「先輩ライター」の存在です。個人的に付き合いのある人でもよし、オンライン上のつながりでもよしなので、同業の先輩がいれば困ったときに相談できます。相談するということは、単純に解決へ向かうだけでなく、世の中に自分ひとりでないことが自覚できることでも有益です。

繰り返しになりますが、相手の不備を晒すためにSNSを使うのは下策です。万が一晒すのであっても、法律に違反しているなどの具体的な内容の明示や「では、どうしたら大勢が良くなるのか、悪くない方向へ進むのか」といった大儀をもっていなければなりません。

今の時代、編集者も応募してきたライターの日常のツイートを見ているものです。そこで批判的な態度ばかり取っている人、言葉使いの悪い人、ネガティブ一辺倒な人は決して好評価につながりません。

若いライターさんがあのやり方を学ぶことは、仕事を発注する側の萎縮や猜疑心を加速するだけで何も良いことが生まれません。イライラ、憤りは我慢しきれずに暴走につながりやすいものです。気を付けてください。

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