2023年10月1日から改正された景品表示法は、情報発信者の間では「ステマ規制」として認知されています。日本では今までグレーゾーンだったステルスマーケティングが法律違反として認められるようになり、アフィリエイト広告の事業社と契約している情報発信者は、この8月から9月にかけて連絡を受けていることでしょう。
ただ、周囲の人と話をしてもうまく把握できていない人も多い上に、ブロガーによっても対応はまちまち。さらに、ステマ対策をしている団体・プラットフォームがさまざまあって統制が取れていないことによる不具合も多く、ブロガーが真剣にすべてに対応しようと思ったら切りがない・わけが分からないといった状況です。
ここまでの状況でブロガーに求められているものが何か、対応できなかった場合のリスクは何か、などを現実的に確認していきたいと思っています。
※以下、2023年10月1日から改正された景表法についてを「ステマ規制」と省略します。特に指定しない限り、2023年10月1日時点でのものを指します。
※本記事の内容は、信頼ある情報ソースを元に僕個人が判断した内容を主として記載しています。間違いがあった場合にはご指摘頂けましたら、修正いたします。
~ 目次 ~
2023年10月1日の景表法改定=「ステマ規制」
最初に、ステマ規制をおさらいしておきます。まず、ステマ規制にブロガーがどう違反したとしても、自身が犯罪者になることはありません。なぜなら、ステマ規制の対象となるのは広告関連などの事業者だからです。ブログ環境においては、多くが広告を配信するASP(Affiliate Service Provider。A8やバリューコマースなどの、広告元の企業と配信先のメディアを繋ぐ企業)が対象となりますが、地域ブログなどを書いている方の中には純広告をもらっているケースもあるので、そうした事業者が含まれることもあるでしょう。
では、違反したブロガーにはどんなペナルティがあるでしょうか。それは、消費者庁から指導を受けた事業者から、アフィリエイト契約を解除されます。犯罪にはならないけれど収入は減ってしまうので、収益を目的とする運営をしている人にとっては致命的なダメージです。
消費者庁は事業者へ
- 違反した表示の差し止め
- 違反したことを一般消費者に周知徹底すること
- 再発防止策を講ずること
- 違反行為を繰り返さないこと
を求めた上で、その内容が公表されます。課徴金はかかりませんが、事業者のイメージは下がるでしょう。従って事業者側としては、情報発信者には、まあまあ厳しく当たってくるだろうとは想像できます。
ステマにならないブログの対応
では、事業者が求めるブロガー側の対策とは何か、を確認していきます。消費者庁の情報と、ASPのA8がガイドラインを示したスタッフブログを元に解説します。
最初に伝えておきたいことは「この書き方をすればどんなメディア・記事でも100%OK」という答えが出ているわけではない、ということです。消費者に誤認させないための良い例を、消費者庁が紹介していることを把握しておきましょう。応用できるほど読み込んでいなかったり、指摘されるまではグレーやブラックな表示でも良いと思っていたりする人以外は、この例の通りにしておくのが安心だと思われます。
参考:
事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針⇒以下で説明する「本資料」です。
別紙2 「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準
2023年10月施行の景品表示法の指定告示(通称ステマ規制)に関するお知らせ - A8スタッフブログ
「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」では、16ページ(別添9ページ)から、参考になる記述が続いています。以下、本資料の図面などを参照しながら説明します。
「広告」という文言が上部に位置している
「広告」という言葉自体は、その記事にアフィリエイトが含まれていることの表現方法のひとつと捉えてください。もしかしたら「PR」かもしれないし「製品提供をうけています」といった文章かもしれません。
とにかくそういった表現が上部に表示されていることが大切です。本資料には
- 一般消費者が当該表示を見る際の視線の動きの方向を踏まえた上で、視野に最初に入る画面内に表示すること。
とされていますし、A8スタッフブログでは「ファーストビュー等、一般消費者が認識できる位置」と書かれています。
スクロールしなければ見られないような位置、本文の最後などに広告表記をするのは、消費者庁や事業者が求める施策とはかけ離れていますね。
アフィリエイトサイトなどで記事の中段に小さく「このページには広告が含まれています。」などと書いてあるものを散見しますが、こういう例はアウトですし、対応がセコいです。
「広告」という文言を、一般消費者が認識しやすい大きさにしている
マーカーによる色づけは私が行ないました。
ずるい契約書の特記事項のような、大切なことを小さな文字で目立たなく書くようなことを否定しています。
資料には
- アフィリエイトサイトにおける表示において使用されている文字の平均的な大きさと比べて、少なくとも同程度の大きさにするなど、一般消費者が認識しやすい大きさにすること。
と書かれています。
本文の文字と同程度以上の文字サイズにしなさい、ということでしょう。ことさら目立たせる必要もありませんが、見にくいようにしてはいけませんね。
「広告」という文言が背景と明確に区別できる色で記載されている
資料には
- 当該表示の背景等に使用されている色と比べて、区別しにくい色ではなく、明確に区別できる色にするなど、一般消費者が認識しやすい色にすること。
と書かれています。背景色と近い紛らわしい色ではなく、文字としてきちんと認識できる色合いであることが大切。
自分のブログの対応
これらの注意の指摘を受けて、自分のブログでは以下のような対応にしました。
すべての記事タイトルの下に、広告のリンクが含まれている、という一文を含めるものです。記事本体にアフィリエイトが無くても、ブログはサイドバーなんかに広告を貼るものなので、まあすべての記事に出ていてもいいかな、と考えています。
僕の場合はWordPressのテーマで、記事ごとのタイトルの下に固定の文言を入れられるウィジェットが用意されています。なお、クラシックエディターです。
こちらのテーマに興味のある方は、以下から詳細を確認したり購入できたりします。ステマにならないように運用できるテーマのご参考にどうぞ。
「ステマ対策」はこれだけでは終わらない
ブログの運営全般を考えた場合、ステマ対策はこれだけでは終わりません。確かに(間接的にでも)法律に関わっているのはこれだけですが、ブログを運営する場合には、その告知ツールとしてSNSの活用もするじゃないですか。
たとえばTwitter(現X)でも、運営サイトの関係者が運営サイトのURLをツイートする場合には関係性表示をしろ、的な指示があるんですよね。
Overview on X's rules and account behavior best practices
違反した場合の影響としてはTwitterのアカウントが凍結されたり削除されたり、といったところで法的な影響は考え難いですが、情報発信者としてはこうした影響も考慮の上、トータルでのブログ運営を気にしなければならないのが面倒くさい。すべての企業・団体での統一ルールを作ってほしいものですよね。
SNSに関係するさまざまな企業では、今はステマ対策を表明しているはずです。自分のブログを拡散するすべてのメディアで、ステマ対策を確認しておかなければなりませんよね。めんどくさい。
今は最低限の対策を取っていますが、もう少し分かりやすい形でできないか、考えてみたいと思っています。まあ、これからどんどん新しい種類のメディアが出てくると思うので、それとブログを連携させたときにどんな表示が望ましいか、常に考えて行かないといけませんよね。