月間アクティブユーザーが1000万人を突破した、クリエイターとコンテンツを楽しむ人のためのサービス「note」。自分の作品を簡単にマネタイズできることやWeb界隈のクリエイターがこぞって参戦していることもあり、気になっている人も少なくないでしょう。そうした人がnoteの第一歩を踏み出せる本「noteではじめる新しいアウトプットの教室~楽しく続けるクリエイター生活~」(本体1,600円+税。株式会社インプレス)を、著者の一人である人気ブロガーのコグレマサトさんからご恵贈いただきました。
note自体の使い方に加え、とても長い期間Webの世界で情報を出し続けているコグレマサトさん・まつゆうさんの情報発信そのものに対するエッセンスが詰まっています。noteデビューだけでなく、noteをきっかけに情報発信そのもののデビューをする人にも向けた一冊となっていましたよ。
「noteではじめる新しいアウトプットの教室」の章立て
章立ては以下のようになっています。
- 第1章 noteの基本
- 第2章 テーマとルールを決める
- 第3章 noteを書く
- 第4章 ステップアップする
- 第5章 自分らしくまとめるマガジン
- 第6章 継続して表現し続ける
- 第7章 先輩クリエイターに聞くアウトプットの極意
第1章~第3章までがnoteの基本、第4章・第5章がある程度noteによる情報発信をした利用者向けの応用編、第6章・第7章は情報発信を長く続けるためのコツや体験談が紹介されています。
「noteではじめる新しいアウトプットの教室」の第1章~第3章は情報発信の基礎にもなっている
第1章~第3章はnoteの基本でもありながら、コグレさん・まつゆうさんによる情報発信の基本的な考え方が語られています。二人ともWebによる情報発信の概念ができたころからのベテランプレーヤーで、楽しみながら長く続けてきた方だけに、短期的に稼ぐといった考えよりも、情報発信をすることを長く楽しく行える方向に導きながらnoteを解説しています。
僕は7年くらいはこのブログを運営していますし、日頃お付き合いのあるコグレさんのブログのスタンスをある程度知っていることから、
「ああ、あのときのことをnoteに置き換えて書いているな」
「ブログのこういった考え・この体験はnoteにも共通しているんだ」
といった部分は容易に理解しながら読むことができました。
当然ながらブログに関することばかりが書かれているわけではありません。CHAPTER26はまつゆうさんによって音声の情報発信について書かれています。お二人の過去の経験をnoteに昇華して語られているのがよくわかります。
僕の場合も友人が音声コンテンツを100話以上にわたって続けているのを傍目に見ながらどこかのプラットフォームでやってみたいなあと思っていたのですが、noteで行えばマネタイズもしやすいかもしれませんね。
情報発信の初心者だけでなく、コグレさんやまつゆうさんのように長く、自分にとっても読者にとっても楽しいものを伝え続けるための土台を把握するには良い章になっています。
「noteではじめる新しいアウトプットの教室」の第4章・第5章はnoteらしさあふれる応用編の解説
乱暴に言えば、noteはシンプルなコミュニティ型のブログメディアです。アカウント作成者同士のコンテンツのフォローをしやすくなっています。そしてシンプルなエディターと華美に過ぎる装飾の無い表示画面。クリエイターにとって必要最小限に絞ったアメブロ、みたいなイメージもあるかもしれません。
noteがほかと大きく違うのはコンテンツを販売する機能が充実していること。記事単位に課金をしたり、複数記事をまとめた「マガジン」に課金をしたり、定期的に更新されることが期待できるマガジンに定期購読の設定を施したりできます。
ブログをはじめとしたほかのメディアは広告を張るなどして収入を得られますが、広告というものは本人にとっても読者にとってもノイズになってしまう可能性があります。それに比べるとnoteは読者(視聴者)から直接コンテンツに対する価値をリターンしてもらえるので、クリエイターとしては実に明快。
良いコンテンツを作って適切に価格設定をし、あとは自分の営業力とSNSのバズ力を駆使して販売するという明快な仕組みです。
そうした設定、読者やほかのクリエイターとの交流、noteの有料プランについての解説が入っているのがこれらの章になっています。
コグレさんは、楽しく更新するなかにも「妥当にお金が得られるならうまく使うといいよね」といったスタンスで、まつゆうさんはあまりお金に触れず、楽しみながら便利に活用できる方法を解説している印象が残りました。
「noteではじめる新しいアウトプットの教室」の第6章・第7章で長く続ける秘訣を知る
第1~第3章までを読むと、noteの基本操作が分かります。
第4・第5章を読むと、応用的な操作や有料コンテンツの運用方法が分かります。
しかし、それらが有機的に機能してくるのは、noteの情報発信が長く続いたときの話。
人によっては高額のnoteが短期的に大量に売られた他人の事例を見て一攫千金夢見たり、
「このnoteは限定〇人で、そこまで売れたら値上げします」
といった商法を使ったりします。
が、コグレさん・まつゆうさんともにそうした運用については本書では触れません。
そうしたnoteの短期的な売り抜け的コンテンツの作り方はnote自体で有料で売られていることがあります。それを知りたいのであれば、砂浜から砂金粒を探し出すような感じで優良コンテンツを探すことになるかもしれませんが、探してみたらよいのではないでしょうか。それを僕が勧めるつもりは全然ありませんけれど。
それよりも、長く続けることの楽しさ・大切さを様々な角度から丁寧に説明している印象を受けました。
noteの機能に絞っているところはもちろんあるのですが、この2つの章も、noteに限らない情報発信の秘訣がちりばめられているんですよね。
第7章ではミュージシャンの高野寛さんが、
音楽配信ではフォローしきれない歌詞やクレジット、ライナーノーツをコンテンツに含めることができるのも魅力でした。
とnoteの魅力を伝えています。こうした特徴にマッチすれば、自分はSNSでなくブログでなくnoteが主戦場になるんだ、ということがはっきりわかろうというものですね。
ほかで情報発信している人がnoteに進出するにも、情報発信をnoteで始める人にもおすすめ
情報発信をすでにしたことある人がnoteというプラットフォームに進出する場合、そもそもこれから初めて行う情報発信をどのプラットフォームで行うかという場合、どちらにでも対応できる本です。
個人的に、一時は情報商材屋の温床になりかねないと危惧していたnoteではありましたが、今、きちんと表現者が集まってきているなあという印象もあり、この場に参加していくのは悪くない選択に思います。
第1~第3章・第6章の記述を見ても、おそらくほかのプラットフォームで培った情報発信力は応用が利きます。また、第4・5章ではnoteらしい機能を十分に知ることができます。
情報発信経験者は第4章・第5章を見てnoteで何ができるのかを知り、第1・2・3・6・7章を読んで、コグレさん・まつゆうさんというベテラン発信者の考えを知ると良いでしょう。
情報発信未経験者は1章から順番に読んでいけば大丈夫です!