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第21回文化庁メディア芸術祭 受賞作品展最大の衝撃はアートとIoTの融合だった #jmaf

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優れたアート、エンターテインメント、アニメーション、マンガを顕彰する文化庁メディア芸術祭の受賞作品展が2018年6月13日から24日まで東京・六本木の国立新美術館 企画展示室2Eで開催されます。オープン前日のプレス向け内覧会にお邪魔してきました。今どきのアートはIoT・AI・ロボットを活用したものが出てきているんだなあ。時代だなあと感じるものがいくつかありました。

IoT、AI、ロボットのアートへの応用は、これからは止められない波なのかもしれません。こういう存在はこれからどんどん目立ってくるでしょう。見に行かれる方は、ぜひ覗いてみてください。

アバターズ(アート部門優秀賞 菅野 創/やんツー

最初に面白いなと思ったのは「アバターズ」です。黒電話、脚立、サーキュレーター、植木にはカメラやマイク、モーターや小型コンピューター(ラズベリーパイ)が組み込まれ、Webサイトにログインした利用者はこれらのオブジェクトをアバターとして操作できるというもの。

アバターって、僕の理解ではせいぜいオンラインコミュニケーションサービスの中で自分の代わりになるアニメ風キャラクターだったんですよ。そんな「当たり前」に一石を投じたのがこの作品で、しかもそのアバターは現実世界に存在しているんです。

アバターを動かしている「本体」は、つまり国立新美術館にはいないんです。インターネットの向こうのどこかにいる。
そして、アバターと一緒にいる僕は、インターネットの向こう側の、ネットに向かってパソコンやスマホを触っている人たちにとってみたら

ネットの中の存在

なんですね。

え、僕、アバターの世界の住人になってしまったの?

ということは、なかなか理解できるもんじゃありません。こりゃ、アートだわ。

それぞれの「アバター」はIoT化されています。いくつか見てみましょうか。

モジュールがよくわかった脚立

わかりやすかったのは脚立。

▼脚立の上には小型カメラが搭載されており…

▼脚立の後ろにはラズベリーパイやモバイルバッテリーが搭載されています。きっと通信モジュールもここにあるんだろうな

目玉つき電話

▼黒電話が何気なく置いてありました。

▼壁を見ると「この電話では会話をすることができます」。いや、そらそうでしょ。電話だし。

ん?でも考えてみると、この電話には何の線も繋がってないぞ。

▼電話をよーく見てみると、ダイヤルの真ん中にはカメラが!

ああ、つまり、この電話の中には無線通信モジュールとラズベリーパイが入っていて、ネットの向こう側の人がカメラ越しに僕なんかの姿を見かけたときに電話をかける、ってことなんですね。で、アバターの世界の中にいる僕らはその受話器を取って、誰か分からない人と電話で話せるという仕組みなんだ。

なんというコネクティブ。

インターネットに公開されちゃう場

つまり、アバターズの展示スペースは、インターネット上に公開されちゃっている場だということらしいんです。
ですので、展示スペースに入る前に、映像が公開されてしまう場所に入ることの同意を求められるそうです。これから見に行く人は注意してくださいね。

見たいけれど顔が出るのは嫌、という方には

▼変装道具が揃っていました。

▼僕もつけてみました。

うん。これなら誰か分からない。

Metalimbs(佐々木 智也/MHD Yamen、SARAIJI エンターテインメント部門 新人賞

係の人が居なかったのでモニターに流れていた動画を見ただけでしたが…。

▼どうやら、足に接続したセンサーを活用し、足を使ってロボットハンドを操作しようというもののようです。

ちょっと阿修羅像を連想させます。動画を見た限りでは結構繊細な動作を行えるようで、これがなんで足の操作でできるのか理解ができませんでした。

そしてこれは果たして芸術なんだろうか。腕が不自由になった方のサポート器具として活用できる、医療的な製品なのではないだろうか。

そっちの方が気になってしまいました。

PaintsChainer(米辻 泰山 エンターテインメント部門 優秀賞)


アップロードした人物の線画をAIが自動着色してくれる、という代物です。着色のテイストが異なる3つのAIから選べるそうで、着色の際に、ここだけは譲れないという部分に関しては、例えば「髪の毛の部分は緑」みたいな指定ができます。

着色のフェーズなく製品化に進めるのであれば、たとえば萌えキャラを作りたい自治体なんかはキャラ作りのコストを少し下げられるかもしれません。ビジネスエディションのようなライセンス形態もあるようなのですが、創作物に関する権利は現在は主張しないそうなので、何らかの理由で着色行程を省きたいクリエイターさんの右腕になるかもしれませんね。

こちらはフリーで使えるサイトがあるので、そこから試すのが良いと思います。

僕は歴史上の人物の写真をアップロードして、着色してもらう実験をしたい。やるぞ。

不思議なCG作品も。

▼ほかにも、進化する恋人たちの履歴を高速で、なんというかCG化したものがあったり…

▼画面内にいる大鷲と、アナログな樽や盾といったアイテムでコミュニケーションを取ってみたり

と、不思議な作品もありました。これらも来てみて感じてみたら楽しかろうと思います。

受賞作品展は2018年6月13日~6月24日、入場無料

とにかく冒頭のアバターズに驚かされた受賞作品展。これまでの僕の認識では、アートって、鑑賞者が見る者は、アーティストが「創作した物」だったんですね。ところが、アバターズに関しては僕たちが見ている物の向こう側には人がいて、実はその人たちに僕らが見られている。双方向性芸術って一体なんやねん。最初は本当に混乱しました。それだけにお勧めです。新しい扉を開けます。

で、こんなIT関係だけではなく、マンガやアニメの作品も展示されています。

アニメでいえば「この世界の片隅に」。

漫画でいえば「ねぇ、ママ

が大賞を受賞しており、それぞれの制作の秘密を垣間見られるでしょう。本稿では書きませんが「この世界の片隅に」の制作過程には感動することもありました。実はまだ見ていないので、これはAmazonで見ようと思っています。

国立新美術館は東京メトロ千代田線の乃木坂駅が最寄り。六本木からも徒歩圏内にあります。アートとIoTの融合を体感しに、ぜひ見に行ってみてください!

音声ガイドアプリもあります。

第21回文化庁メディア芸術祭 受賞者コメント付音声ガイドアプ

第21回文化庁メディア芸術祭 受賞者コメント付音声ガイドアプ
開発元:Acoustiguide Japan Ltd.
無料
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