書評

映画「駆込み女と駆出し男」の予習に最適。川嶋すず作「お江戸離婚ものがたり」【書評】

2015/02/09

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@odaiji さん曰く、。

最近参画しているシネマズ by 松竹というサイトの公式ライターとしての活動の一つで、先日映画の試写会に行ってきたんですね。
それが

駆込み女と駆出し男』2015年5月16日(土) 全国ロードショー

だったのです。主演が大泉洋さん、ヒロインに戸田恵梨香さん・満島ひかりさん。脇を固める俳優さんも山崎努さん、樹木希林さん、キムラ緑子さんなどなど実力派ばかり。とっても面白い映画だったのですが、

江戸時代や駆け込み寺の知識があったらもっともっと楽しく映画を観られるな!

とも思ったのですね。そう思っていたら映画の予習に最適な漫画が発売されていたのでご紹介します。それが川嶋すずさん作の「お江戸離婚(みくだりはん)ものがたり」です。

7編の実話から解説

お江戸離婚ものがたり_表紙

女性から離婚を切り出す手段として、駆け込み寺に行く、というものがありました。ただ駆け込み寺って日本でも鎌倉と群馬にしかなかったんですけれどね。武家屋敷に逃げ込んだ人もいるらしいです。

そのような駆け込み寺などの記録を基に7編の実話を漫画化したのがこの本です。

監修に群馬県にあった駆け込み寺・満徳寺の資料館名誉館長で、もう30年以上も縁切り寺の研究をつづけ、今回の映画の縁切寺回りの監修もされている高木侃(たかぎ ただし)さんです。

各エピソードは川嶋さんの漫画で描かれ、エピソードの終わりに高木さんの解説(エピソードは実話ですからね)やコラム、進行役となっている二人のキャラクターである高校教諭の徳田慶寺と女子高生の愛川みくが話を進める形式で完結しています。

漫画なので読み進めやすく、漫画を読んだ後に解説が入るので、知識としても身に入りやすいなあと感じました。

これ一冊読んでおくだけで、映画「駆込み女と駆出し男」の満足度ははるかに上がると思いますよ!

川嶋さんの描く女性がきれい

女性が中心の漫画なのでもちろん女性は多く出て来ます。作画の川嶋すずさんが美しく描いているなあと感じました。

町娘から武家の女房、遊女まで描いていますが、個人的には遊女の目に色気があっていいなと思いました。色気があってしたたかで、悩みも大きいけれど人の前では強くいる、こんな遊女の顔を上手に引き出されているなあという印象です。

女性ではありませんが、時代劇「遠山の金さん」のモデル・遠山左衛門尉も漫画に登場します。入れ墨は見せていませんが(笑)、いい男に描かれています。

じつはこの遠山左衛門尉、映画「駆込み女と駆出し男」の劇中の時代に実在していた人物なんですね。映画の中にはほかにも実在する人物も登場しますので、そういう人の知識も持っているとさらに映画に没入しやすくなるでしょう。

人物とは直接関係ないですが、髷(まげ)の描き方もきれいだなあと思ったり。
江戸時代の町人の髷って小さ目にちょんと乗ってるようなところがあったと聞いたことがあって、そんなところを再現されているあたり、丁寧に資料を読んで描かれたのだなあと感心しているんですよ。

女は案外弱くない。したたかさも!

お江戸離婚ものがたり_裏表紙

江戸時代っていうのは「これだけ本音と建前が違う時代はない!」と言われるくらいかけ離れていたらしくてですね。
そもそも江戸時代が始まったころに徳川家が「儒教」を持ち込んで、建前上は女性はかなり男の人の下につくようになっていたようなのですが、こういう庶民の活動の記録を見る限り、女性は相当に自由に生きていたのだなあと思います。

駆込み寺の制度を悪用して、好き放題浮気した末にダンナを捨てようとして駆込み寺に行った人とかね。ちゃんと審議されてNGでてるんですけれど(笑)

そういったエピソードが漫画に出ているので、何となくテレビ時代劇を見て女性は大変だ、と思っていた方は印象が変わるかもしれませんよ。

知識を持っておくことで、映画の面白さがストレートに伝わってくる

この漫画を読んでもとくにネタバレにはなりませんのでご心配なく。逆に縁切り寺の知識が入ってくることで映画の中で「これどういう意味?」という部分が減っていきます。その分、大泉洋さんのコミカルな演技や、戸田恵梨香さん・満島ひかりさんの美しさに集中することが出来ます。

公開は3か月後。漫画を読むのに必要なのは数時間。読み返しても大してかかりません。効果の大きい漫画なのではないかなと思いましたよ。

映画の情報は公開が近づくにつれて
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(画像をクリックするとジャンプします)
シネマズ by 松竹でもいろいろ出てくると思います。僕も執筆しますしね。シネマズでも楽しみにして頂ければと思います!

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