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写真の法律とマナーのMOOK「写真好きのための法律&マナー」にはパクられた際の請求法まで紹介されていた

2018/06/03

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街中で群衆の写真を撮影したとき、ビルに有名人の広告が出ていてそれが写り込んでいたとき。その写真をブログやメディアに掲載してもいいか悩んだことはありませんか?正しい知識を持っていれば掲載の判断もできるし、そもそもその判断に基づいて撮影できるのですが、判断ができないと問題を恐れて撮影を躊躇したり、出してはいけないものをメディアに掲出して訴訟問題になったりするリスクを抱えてしまいます。
そうした判断を法律・マナー両面から解説した連載をアサヒカメラでしていたのですが、その連載が「写真好きのための法律&マナー」と題して3月に発売になっていました。大きなメディアの編集の人なら社内で教育されているような内容かもしれませんが、個人ブロガーやフリーライターなどは知っているようで知らない写真の法律やマナーがわかりやすく掲載されているMOOK。買っておけば転ばぬ先の杖となるのは間違いありません。

写真好きのための法律&マナー

そもそもアサヒカメラで連載になったきっかけは、確か写真を勝手にまとめサイトに使われてしまったことの顛末だったはずです。その時期、Webメディアでの著作権侵害や信用のおけない情報の氾濫が大きな問題になっていたころでもあり、写真に関しても問題が指摘されていました。プロカメラマンが無断利用者に使用料を請求した事例もブログで話題になっていたこともありましたね。

Webと写真については、法律面とマナー面のふたつのテーマがコンテンツ制作者の前にあります。そしてマナー面は、ルールを決めた人や団体に対するマナーと、被写体に関するマナー、それ以外のマナーなど気を使う部分は沢山あるんですよね。

それらについて過去の事例を紐解きながら著作権・マナーにとどまらずイベントやお祭り、鉄道写真などのケースについて語ってくれています。写真を撮って何らかの媒体に発表する人には役立ちます。

この写真はアウト?セーフ?

顔が写った写真を撮影しようとしたときに被写体から

「個人情報の保護があるんだから顔写真は掲載しないで!」

と言われたら、どうします?

同書の38ページを引用してみましょう。

顔写真は個人情報ですが、同法が指す“事業者”とは、個人情報をデータベース化して事業に利用している事業者のこと。ですから、ポートレートやスナップ写真など、人の顔が写った画像データをたくさん持っていたとしても、データベース化して事業に活用していなければ、同法適用の範囲外です

と、アサヒカメラ誌にも登場する三平聡史弁護士の言葉が出ています。ではこれを盾に撮影を強行出来るかと言えば、それはそう簡単ではありませんよね。個人情報保護法的には問題がなくても、肖像権の問題、プライバシー権の問題もありますし、なによりその被写体が個人的に望む・望まないという気持ちに配慮するマナーの問題もあります。

でも、現在はSNS時代、デジカメ・スマホ時代でもあります。いろいろ記録に残したいという気持ちは当たり前のことですし、それが将来の歴史的資料になることだって考えられます。

そういった法律・権利・マナーなど様々な視点を持てる専門家がそれぞれの視点で撮影を解説してくれているので、非常にわかりやすく判断できるようになっています。

その知識をもって言われた相手と適切な交渉を行えるようになるでしょう

削除要請や損害賠償請求のマニュアルも

パクリメディアに勝手に写真を使われて憤慨しているカメラマンも少なからずいますよね。

そういう方に向けた、メディアへの削除請求の仕方や損害賠償請求も順を追って解説されているのがこのMOOKの良い所だと感じました。

実践的でもありますし、実際に交渉が大変だという話も実録的に紹介されていたりするため、上から目線で「こうしたら」というだけではないリアルな現実を知れるのではないでしょうか。

マナーも法律も様々な角度から

前述の通り、写真の取り扱いは法律だけでもマナーだけでも語りきれないのが難しいところ。ここではその両面についてフォーカスを当ててくれています。

ストックフォトエージェンシーによる無断利用への取組、現実的なまとめサイトと法律の壁、マナーの悪いカメラマンに対する問題点の提起や北海道美瑛町の取組の話などの逸話も掲載されています。

また「嫌われない撮り鉄になるために!」といった、鉄道写真家のためのマナーも特集されており、気を付けるポイントがわかりやすく例示されているのが良いポイントですね。

撮る側・掲載する側、両方にオススメ

写真を撮るルールは、法律面・マナー面から学んでおくことが現場で最も高い機動力を生かせます。

「ここは撮ってはいけないから控えよう」
「ここは被写体の許可を得て撮影しよう」
「これは堂々と撮影して堂々と掲載しよう」

この区別がつけば余計なトラブルも回避できますから嫌な思いもしなくていいですし、スムーズにカメラと向かい合えます。
また、実際には何も悪いことをしていないのに自分の知識がないことが理由でネットで批判するようなことも無くなるでしょう。

以前僕のブログで

こちらの紹介をしました。これと併せて読むことで、写真撮影のマナーやパクられたあとの対処など、より充実した情報が得られるのではないでしょうか。カメラを駆使するブロガーさん・ライターさんにはぜひ目を通してほしい一冊です。

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